2010年の邪馬台国の所在地アンケート結果

邪馬台国本、年末年始に少し読もうとやってます。最新本というより、図書館に置いてあったちょっと古い本。そうしたら、福岡県が実施したアンケート結果が紹介されていた。

 

調べたら2010年で、情報はほとんど無かった。唯一、論文の冒頭にちょこっと紹介されていたのが見つかった(西谷正「邪馬台国最新事情」石油技術協会誌 第 75 巻 第 4 号 (平成 22 年 7 月)277 ~ 285 頁)。

https://www.jstage.jst.go.jp/article/japt/75/4/75_4_277/_pdf

 

九州説、東遷説、近畿説の順に紹介しているが、結論的には「まず魏志倭人伝の資料批判を徹底的にやることであり…東アジア史の視点をもって…倭人伝に記載されなかった諸国についても…トータルに見ていく必要がある。そのためにも…日本列島の諸地域に対して,地域単位 の考古学的調査・研究をよりいっそう推進することが重要」と無難な提言でまとめられている。しかし、紹介図表は寺澤薫の纏向型前方後円墳の全国分布状況など纏向=邪馬台国の比定を重視しており、近畿説の各論における「箸墓古墳は…卑弥呼の可能性が高く、したがって卑弥呼ヤマト王権の最初の大王であろう」とも言っていて、近畿説が主流となりつつあることを予見する書きぶりである。論文のタイトルは「邪馬台国最新事情」であるから、そういうものである。

 

つまり、前振りの比定地アンケートの紹介は、九州説は研究状況の中では遅れているが一般大衆にアンケート取るとかなり根強い支持がある、ということを言いたいのだろう。

 

念の為、この10年以上前のアンケート結果を上の論文から紹介する。圧倒的に九州という結果で、1000人のうち、5人しか畿内と回答していなかったのだ。

(出所)西谷正「邪馬台国最新事情」石油技術協会誌(平成 22 年 7 月)より

 

このようなアンケートを今取ったらどうなるだろう。まぁ、徳島が相当な数を記録すると思いますね。何か読売Webが年末い記事にしてたみたいだし。

 

映え、とかそういう評価軸なんじゃないだろうか。「古代にユダヤが来た!」、映えますよね。え! 何それとかって。で、詳しく見てみたら、何となくしか知らなかった日本神話の話がどんどん繋がっていく。そうか、阿波は歴史の中で隠されたのか。可哀想、これは何とかしなくてはいけない。

 

こうやって、一度結ばれた論理回路は「伊勢神宮に祀られているのはユダヤの失われたアークですよ」と言われて、そうかもしれないと思うんでしょうか。

 

私なんかは、10000%譲って、仮にそうだったとして、それがもたらす諸々の事柄が気になって、ものすごく気持ち悪くなりますが。映え系の議論だと、無責任に好きか嫌いかで優劣が決まるんでしょう。

 

このような状況の中で、例えば、今、古代史研究の専門家はどのような総括をするのだろうか。非常に興味ありますね。